ドイツのエネルギー・環境分野の最新情報をお届け

2023年第4号

 

目次

 

ごあいさつ

経済ニュース

環境ニュース

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特集

 


ごあいさつ

 

弊社の代表取締役に就任し丸二年が経ちました。本年はようやく日独双方で新型コロナウイルスによる影響が落ち着き、ようやく暗く長いトンネルに光が差した年でもありました。多くのイベントを対面で行うことができ、日独経済フォーラムや日独エネルギー変革評議会などのイベントを成功に収めることができたのも、皆さまのご協力によるものであり、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。年明けには、恒例となりました日独エネルギー・環境フォーラムの開催が控えております。川崎で1月25日、26日の日程で行いますのでぜひお越しください。今後も時代の流れに敏感に対応しながら、日独の架け橋となれるよう少数精鋭のメンバーで皆さまをサポートして参りますので、どうぞよろしくお願いします。

この一年でイスラエル・パレスチナ問題やウクライナ危機を発端に、エネルギーを取り巻く環境は劇的に変化しました。特に、ドイツでは本年4月に原子力発電が完全撤廃され、2024年1月以降新規の暖房設置の際には65%以上再生可能エネルギーの利用を義務付ける暖房法が可決されるなど、一段と再生可能エネルギーを軸とした持続可能なエネルギーシステムの構築が求められております。今回のニュースレターでは、ニーダザクセン州をはじめドイツ国内で行われる再生可能エネルギー関連のプロジェクトや産業電気料金などの政治動向などについて旬の情報を取り上げました。どれもドイツにおけるエネルギーの未来を担う中核となるニュースとなっていますので、ぜひご一読ください。

最後にはなりましたが、皆様にとって良い年末年始となりますことをお祈りしております。

ECOS代表取締役

ヨハンナ・シリング


経済ニュース

 

ドイツ、新興国・途上国への気候変動資金拠出目標を上回る

ドイツの2022年における国際的な気候変動資金の拠出額は過去最高の63.9億ユーロに上った。干ばつや飢餓の原因としての気候変動に焦点を当て、例えば気候に適応した農法の促進や食糧安全保障のための開発プロジェクトに大幅に多くの資金が提供された

ドイツの2022年における国際的な気候変動資金への拠出額は前年を約10億ユーロ上回り、過去最高額に上り、総額63.9億ユーロとなった。このうち約44%は、気候変動への適応という重要な分野に割り当てられており、その額は約28億ユーロにのぼる。したがってドイツ政府は、2025年までに適応資金を2019年比で倍増させ400億米ドルにするという国際的に合意された目標に貢献する。2022年には、干ばつや飢餓の原因としての気候変動に焦点を当て、例えば気候に適応した農法の促進や食糧安全保障のための開発プロジェクトに大幅に多くの資金が提供された。

(出典:2023年9月29日、ドイツ連邦経済・気候保護省

 

ドイツ連立政権、産業用電気料金について合意

ドイツ連立政権は産業用電気料金について合意し、引き下げを実現する意向。製造業に対する電気税の大幅な引き下げと、特に電気料金高騰の影響を受けている企業に対する既存の電気料金補償の延長が含まれる。

ドイツ政府は、産業界に対する電気料金の引き下げを実現する意向である。同計画には、製造業に対する電気税の大幅な引き下げと、特に電気料金高騰の影響を受けている企業に対する既存の電気料金補償の延長が含まれている。今回の合意では、電力税は、欧州の最低税率である1キロワット時あたり0.05セントに引き下げられる。現在は1キロワット時あたり約2セントとなっている。ドイツの電力価格は他の多くの国よりも高い。これは税金やCO2価格によるものだが、ドイツには石油やガスの埋蔵量がほとんどなく、再生可能エネルギーの利回りが他国に比べて低いことも影響している。国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、ドイツの産業界は、1メガワット時当たり、アメリカやカナダの3倍近くを支払っている。EUでは、ドイツはこの分野の中間に位置する。製造業の企業はすでに1キロワット時あたり1.537セントの軽減税率が適用されており、大手企業グループだけでなく、中堅企業もこの新規制の恩恵を受けている。特に国際競争にさらされ、電気料金の高騰に苦しむ350社が追加支援を受けることになる。現行の電気料金補償は5年間延長され、現行の控除額が拡大される。特に電力集約型の企業約90社に対する追加的な救済措置も延長される。

(出典:2023年11月9日、ZDFヴィルトシャフツ・ヴォッヘ

©Wirtschaftswoche

多くのドイツ企業が海外に投資

ドイツのグローバル企業の多くは、ドイツ国外への投資拡大を検討。総額2兆ユーロ近いドイツの直接投資は、今後数年間で1000億ユーロ増加すると予想され、雇用も8万から10万人増加すると予想されている。

グローバルにビジネスを展開する企業の多くが、今後数ヶ月のうちにドイツ国外への投資拡大を計画している。世界経済が低迷し、多くの問題を抱えているにもかかわらず、調査によると、ドイツのグローバル企業の3分の1が海外投資拡大を計画している。この調査はドイツ商工会議所(DIHK)が分析したもので、欧州と中国におけるビジネスへの期待感が低下していることを示している。DIHKの調査によると、18%の企業が、コロナウイルス流行の経済的余波に加えて、ドイツ政府が投資判断の主な理由としている「デリスク(リスク低減)」を挙げている。この戦略の背景には、重要分野における地政学的リスクに直面する中で、中国依存を避けるという意図がある。中国を補完する国として、インドが注目を集めている。

総額2兆ユーロ近いドイツの直接投資は、今後数年間で1000億ユーロ増加すると予想され、雇用も8万から10万人増加すると予想されている。現在、800万人がドイツの海外拠点で雇用されている。海外に拠点を置くドイツ企業の22%は、拠点における景気が上向きになると回答し、28%は悪化すると回答している。DIHKと在外ドイツ商工会議所の調査によると、今後1年間の短期的な投資意欲はやや低下している。調査によると、5分の1の企業が海外拠点への投資を削減する予定だという。

(出典:2023年11月7日、ARD


環境ニュース

 

新建築物エネルギー法が9月に可決

2023年9月に可決された新建築物エネルギー法は、2024年1月1日から施行され、新しい暖房システムを設置する際に65 %以上を再生可能エネルギー由来に切り替えることが義務付けられる。既存の建物や、新築地域以外の新築建築物については、移行期間が長く設定されており、大都市(人口10万人以上)では、遅くとも2026年6月30日以降、暖房システムの変更時に気候変動に配慮したエネルギーの利用が義務付けられる。

暖房部門におけるエネルギー転換は、気候変動政策の目標を達成し、化石燃料の輸入依存を減らすための重要な鍵である。ドイツの総エネルギー需要の3分の1以上が、建物の暖房と給湯に使われている。現在、約4,100万世帯で化石燃料が主な熱源となっており、ほぼ2世帯に1世帯が天然ガス、4分の1が石油を使用している。したがって、自然エネルギーへの迅速な転換が不可欠である。2023年9月に可決された新建築物エネルギー法は、2024年1月1日から施行され、新しい暖房システムを設置する際に65%以上を再生可能エネルギー由来に切り替えることが義務付けられる。既存の建物や、新築地域以外の新築建築物については、移行期間が長く設定されている。例えば、大都市(人口10万人以上)では、遅くとも2026年6月30日以降、暖房システムの変更時に気候変動に配慮したエネルギーが義務付けられる。また、市町村の暖房計画を考慮した暖房網の地域指定が事前に決定されている場合などには、より早い期限が適用される可能性がある。

自治体の暖房計画の期限が切れるまでは、石油やガスを燃料とする新しい暖房システムを設置し続けることができる。しかし、2029年以降は、バイオガスや水素などの再生可能エネルギーの比率を高めなければならない。期限終了後も、65%のグリーンガス(バイオメタン、グリーン水素、ブルー水素)を燃料とするガスボイラーであれば、原則的に設置し続けることができる。

(出典:2023年9月8日、ハンデルスブラット連邦経済気候保護省

 

ドイツ、ヒートポンプの販売に遅れ

ドイツは他の欧州諸国に比べヒートポンプの販売において大きく遅れをとっている。ドイツ・エネルギー庁(dena)が実施した研究「建物部門におけるヒートポンプ」では、この理由として、電気料金とガス料金の比率が挙げられている。

欧州ヒートポンプ協会の統計によれば、ドイツは他の欧州諸国に比べヒートポンプの販売において大きく遅れをとっている。ランキングのトップは北欧諸国、特にフィンランドで、2022年には1,000世帯あたり69.4台のヒートポンプが販売された。ノルウェーは59.9台、スウェーデンは39.3台、エストニアは32台、デンマークは1,000世帯あたり30台弱である。対照的に、ドイツの数字(6.7)は上昇しているとはいえ、まだ一桁台である。2022年に1,000世帯当たりのヒートポンプ販売台数がさらに少なかった国は、ハンガリー(3.8台)と英国(1.9台)だけである。 ドイツ・エネルギー庁(dena)が実施した研究「建物部門におけるヒートポンプ」の中では、この理由として、電気料金とガス料金の比率が挙げられている。ドイツでは現在、電気料金はガス料金の2.8倍である。現在の投資コストでヒートポンプが広く採用されるためには、電気料金とガス料金の比率を2.5より小さくする必要があると言われている。 欧州の17カ国が、ドイツの新建築物エネルギー法に規定されている内容と同様の対策をすでに実施、あるいは発表している。スカンジナビアにおけるヒートポンプの人気は、暖房に自然エネルギーを使用することに対する長年の政治的支持にも起因している。例えばデンマークでは、地域暖房を通じて供給される熱のほぼ3分の1がヒートポンプから供給されることになっている。

(出典:2023年11月3日、ドイツ連邦経済・気候保護省

©ドイツ連邦経済・気候保護省

最大規模の地下水素貯蔵施設建設プロジェクトがブランデンブルクで始動

EWEが運営するブランデンブルクのRüdersdorfで10月下旬に始まったプロジェクトでは、試験的に地下の空洞に6トンの水素を貯蔵する。プロジェクトの総費用は約1000万ユーロで、その60%は連邦政府の補助金で賄われる予定。

10月下旬、ブランデンブルクのRüdersdorfにおいて同プロジェクトが始まった。運営を行うのはエネルギーサービスプロバイダーのEWE。試験的に作られた地下の空洞の中に計6トンの水素が運び込まれる予定で、自動車1000台分の充電量に匹敵するという。プロジェクト規模は約1000万ユーロで、その6割を連邦政府が補助する予定だ。今後、貯蔵施設の試験運用を行い、施設に保管される水素の品質についても検査し開示する。特にモビリティ用途では99%の純度が必要なため、同社のプロジェクトマネージャーのHayo Seeba氏は「水素の貯蔵量や供給時に必要な量など、あらゆるシナリオを検証していく予定だ」と話す。品質検査には約1年を見込んでおり、異なる圧力下における水素の出入シナリオについて検討する予定だ。 水素は化石燃料に代わる主要なエネルギー源としての期待が高まっている。連邦経済エネルギー省は「特にエネルギーの長期貯蔵は、将来の供給システムにおいて非常に重要な位置づけを担っている」とコメントし、同プロジェクトに期待を込めた。

(出典:2023年10月23日、rbb24

 

直接還元鉄プラントの脱炭素化が実現 リンゲンで稼働開始

リンゲンで世界最大の直接還元法によるグリーン鉄鋼製造プラントが稼働を開始した。プロジェクトには、新興企業連合のCO2GRAB/HyIronや鉄鋼メーカーのBENTELER、エネルギー供給会社RWEが参加している。

8月中旬、ハノーファーのリンゲンで同プラントの開所式が行われた。ニーダザクセン州のエネルギー・気候保護省のChristian Meyer氏らが参列し、「今回のような技術革新は、気候中立経済への重要な一歩。クリーン水素を活用する最先端の州であることの証明だ」と成果を強調した。パイロットプロジェクトの下で建設された同プラントは、今後気候変動に配慮した生産技術の新たなベンチマークとなることが期待されている。 鉄鋼部門はドイツ国内の温室効果ガスの約6割を占め、脱炭素化が求められている。プロジェクトには、新興企業連合のCO2GRAB/HyIronや鉄鋼メーカーのBENTELER、エネルギー供給会社RWEが参加。ガス密閉式ロータリーキルンを新たに開発し、水素が鉄鉱石に含まれる酸素と完全に反応し、元素状鉄(直接還元鉄(DRI))に変換される仕組みを生み出した。水素が原料炭や天然ガスなどの従来のエネルギー源の代わりに使用され、1時間あたり1トン以上の鉄生産を目指す。生産による副産物は水蒸気だけだ。同開所式ではHyIron協会の株主で、NRW再生可能エネルギー協会理事のSteffen Lackmann氏も参列し、「同州を鉄鋼やビジネスの拠点として維持していくため、これからも貢献していきたい」とコメントした。

ニーダザクセン州は現在、26のグリーン水素プロジェクトを支援しており、支援額は総額8000万ユーロに上る。今回のパイロットプロジェクトの総額は500万ユーロで、同州環境省は300万ユーロの資金提供を行っていた。

(出典:2023年8月14日、IWR

 

水素のパイロットプロジェクトH2Cast Etzel 順調に作業進む

ニーダザクセン州のEtzelで行われるH2Cast Etzelプロジェクトでは、塩洞窟のゾーニングを終え、塩洞窟を水素貯蔵用に改造する作業が始まった。当初の計画通りに進められており、2024年夏には水素80トンの導入を見込む。

ニーダザクセン州のEtzelで行われるH2Cast Etzelプロジェクトでは、塩洞窟のゾーニングを終え、塩洞窟を水素貯蔵用に改造する作業が始まった。当初の計画通りに進められており、2024年夏には水素80トンの導入を見込む。同プロジェクトは同州と連邦経済気候保護省(BMWK)から資金援助を受ける。今回の成果が他の地域へ応用され塩洞窟が水素を貯蔵できるロールモデルとなることが期待されている。 同プロジェクトは、塩洞窟内における大量の地下水素貯蔵の実現可能性を実証し、同地区の塩洞窟が水素貯蔵に適していることを証明することを目的としている。水素貯蔵施設を運用し、ドイツとヨーロッパにおける水素産業の確立に貢献することが期待される。H2CASTは「H2 CAvern Storage Transition」の略で、再生可能で生態学的に持続可能なエネルギーシステムの構成要素として、同地区にある既存の大容量洞窟と技術施設を将来の水素貯蔵のために再利用することを意味している。運営を行うSTORAGETZEL社は「洞窟内のシステムが、水素貯蔵に適していることを示したい」とコメント。同地区は2026年までに水素を混焼する「H2-ready(水素適格)」の認証取得を目指しているという。

(出典:2023年10月23日、H₂CAST Etzel

 

欧州初となるノルウェーのグリーンアンモニア生産施設へEnBWが出資

グリーンアンモニアの生産施設プロジェクトSkipavika Green Ammonia (SkiGA)に、エネルギープロバイダーのEnBWが出資。同社は同プロジェクトの株式10%を取得し、グリーンアンモニアの長期購入契約の独占購入権を取得。

エネルギー転換と気候変動への対応の観点から注目を集めるグリーンアンモニアの生産施設プロジェクトSkipavika Green Ammonia (SkiGA)に、エネルギープロバイダーのEnBW(カールスルーエ)が出資した。同社は同プロジェクトの株式10%を取得し、グリーンアンモニアの長期購入契約の独占購入権を獲得。今後、同社内における脱炭素の取り組みを進めるとともに、海事事業をはじめとする国内外の顧客に対してグリーンアンモニアを提供できるよう事業を展開する。 グリーンアンモニアは水素に比べて生産と輸送に必要な労力が比較的少ないとされる。生産施設はノルウェーの西岸部Mongstadの製油所付近に建設され、2026年に完成する予定だ。年間10万トンの生産を見込み、欧州地域では初の排出ガスの出ないアンモニア製造施設として注目を集めている。同プロジェクトは大規模なグリーン水素やアンモニアプロジェクトの開発を専門とするノルウェーのプロジェクト開発会社 Fuella AS によって主導され、アンモニアプラントの分野の世界的リーダーであるCasaleがプラントの設計と建設を担う。送電網接続はすでに確保されており、PPA(電力購入契約)に関する議論が進められているところだ。今回の出資についてEnBWトレーディング責任者Peter Heydecker氏は「カーボンニュートラルな発電における主導的な役割を果たす戦略的投資の一環。北欧は欧州地域の中でも、カーボンフリーエネルギーのトップサプライヤーで、信頼性が高く安定したエネルギーのパートナーだ」と話す。SkiGA CEOのCornel Russi 氏は「今回のEnBWとの契約は、グリーンアンモニアの商業化の一歩であり、プラント開発を確保するものだ。これは将来の脱炭素エネルギーシステムを構築するうえでも重要な役割を果たす」と期待を込めた。

(出典:2023年9月1日、IWR

 

ドイツ政府、ソーラーパッケージ1を閣議決定

ドイツ政府は8月16日、「ソーラー・パッケージI」を閣議決定。これにより、屋根や空き地での太陽光発電の拡大を加速させ、エネルギー供給システム全体を最適化することを目標としている。

ドイツ政府は8月16日、「ソーラー・パッケージI」を閣議決定。これにより、屋根や空き地での太陽光発電の拡大を加速させ、エネルギー供給システム全体を最適化することを目標としている。ドイツでは、太陽光発電システムの新設が増加の一途をたどっている。2023年上半期には、2010年から2012年にかけての記録的な年よりも、合計で約6,000メガワット多い容量が追加された。ソーラー・パッケージにより、ドイツ政府はさらなる加速と高い拡大目標を目指している。2023年に9GW、2024年に13GW、2025年に18GWの太陽光発電容量を追加する予定だ。2026年からは、その3倍以上の22ギガワットが追加される。増設の約半分は地上設置型、残りの半分は屋上設置型である。 また、パッケージには、ソーラーパークの建設可能面積の拡大、バルコニー発電所やテナント電力システム、太陽光発電システムの系統接続に関する簡素化などが含まれる。 さらに、簡素な試運転を支援するため、バルコニー発電については報告書の簡素化が計画されている。このため、系統運用者への登録は取りやめられ、市場マスターデータ登録への登録は、合理化される。テナント電力の分野では、官僚主義を最小限に抑えて太陽光発電による電力自給を可能にする、共同ビルへの新しい供給モデルの導入が計画されている。 現行の規制では直接販売が義務付けられている出力100kW以上の太陽光発電システムについては、柔軟化される方針。この背景には、自家消費比率の高いシステムの場合、系統に供給される電力量が非常に少なく予測が困難なため、直接販売にかかるコストが収益を上回る可能性があることがある。このため、太陽光発電システムは、屋根面積から可能な量よりも小さく設計されるか、余剰量が抑制される。その解決策として、法案では、直接販売義務の対象となっている系統運用者が、余剰電力を系統運用者に無報酬で転嫁できるようにするとともに、直接販売にかかる費用も不要とすることを定めている。法案ではまた、土地や輸送ルート上に太陽光発電設備やその他の再生可能エネルギー設備の接続線を敷設する権利を規定している。これにより、土地所有者や交通事業者との交渉は不要となる。

(出典:2023年8月16日、ドイツ連邦経済・気候保護省IWR

©ドイツ連邦経済・気候保護省

エネルギー貯蔵システムの必要性 

連邦ネットワーク庁は2030年以降、設置される再生可能エネルギーシステムの約10%が大型蓄電池システムに備えられると予測しており、2030年までに約104ギガワット時、2045年までに180ギガワット時の貯蔵が必要になる。現状では10ギガワット時の蓄電容量しかなく、容量拡大へのハードルは高い。

再生可能エネルギーの拡大に伴う発電量の変動が大きくなり、送電網が過負荷になる可能性が指摘されている。こうした状況の下、余剰電力を一時的に貯蔵し、急激な価格変動を最小限に抑える観点から、大型蓄電池システムなどのエネルギー貯蔵システムが注目を集めている。連邦ネットワーク庁は2030年以降、設置される再生可能エネルギーシステムの約10%が大型蓄電池システムに備えられると予測しており、2035年からは20%、2040年からは25%を計画する。2030年までに約104ギガワット時、2045年までに180ギガワット時の貯蔵が必要になるとのFraunhofer ISEの予測とは裏腹に、ドイツの統計では現在のところ10ギガワット時の蓄電容量しかなく、その80%以上は家庭用蓄電で、大型の蓄電池システムはわずか1.3ギガワット時だ。 大規模蓄電システムのハードルは高く、大きく2つの問題が立ちはだかっている。

一つ目はエネルギー貯蔵システムに関する具体的な法律がドイツにはなく、消費と発電プラントに関する既存の規制を蓄電システムに移行することができないため、法的不確実性につながってしまう。さらに大型蓄電池システムは、いつまで系統料金が免除されるのかも決まっていない。二つ目は系統接続だ。蓄電システムが問題なく送電網に接続できることはほとんどなく、送電網の承認期限である8週間が蓄電設備には適用されないため、送電網事業者の対応に数カ月を要することも多い。加えて送電網接続料は非常に高く、場合によっては蓄電システムの投資費用の20%に達することもある。 政府は「ソーラー・パッケージI」を8月に閣議決定し、その中で再生可能エネルギー発電への政治的な注力を改めて強調している。今こそ、エネルギー貯蔵システムにより焦点を当てるべき時で、明確な枠組みが不可欠だ。短期的には資金的な裏付けと適切なプロジェクト経験を持つ強力なパートナーが、既存の不確実性を埋めるために必要である。

(出典:2023年11月10日 pv magazine

 

ドイツ議会、エネルギー効率化法案を可決

ドイツ連邦議会で可決されたエネルギー効率化法(EnEfG)は、公共部門と企業に対する具体的な効率化策を盛り込み、明確なエネルギー効率化目標を定めているほか、データセンターの効率化基準を初めて定義。

ドイツ連邦議会で可決されたエネルギー効率化法(EnEfG)は、公共部門と企業に対する具体的な効率化策を盛り込み、明確なエネルギー効率化目標を定めているほか、データセンターの効率化基準を初めて定義した。2030年までの目標は、EUエネルギー効率指令(EED)のドイツに対する改正要件に対応している。主要なポイントは以下のとおりとなっている。

• エネルギー効率目標 EnEfGは、2030年までにドイツの一次エネルギー消費量と最終エネルギー消費量を削減する目標を設定している。早期の計画策定と投資確保の観点から、2045年までに最終エネルギー消費を削減する目標も設定されている。最終エネルギー消費については、2030年までに約500TWhの削減を意味する(現状比)。

• 連邦政府と州政府の省エネ義務 2024年以降、連邦政府と連邦州は、2030年までに年間最終エネルギー削減量が45TWh(連邦政府)と3TWh(連邦州)になるような省エネ対策を講じる義務を負う。

• 省エネルギーにおける公共部門の模範的役割 エネルギー効率向上における公共部門の模範的役割を連邦および州レベルで実施するため、エネルギーまたは環境管理システムが今後導入される。EnEfGはまた、年間総エネルギー削減率2%の達成を目標に、エネルギー効率化対策の実施を規定している。連邦および州レベルの公的機関は、実施すべき対策を独自に決定する。

• 企業に対するエネルギー・環境マネジメントシステムの導入 EnEfGは、エネルギー消費量の多い企業(平均7.5GWh以上)にはエネルギー・環境管理システムの導入を、最終エネルギー消費量の合計が2.5GWh以上の企業には経済的なエネルギー効率対策を実施計画に記録し、公表することを義務付ける。しかし、措置の実施については、企業に決定が委ねられる。

• データセンターのエネルギー効率と廃熱要件 データセンターにはエネルギー効率基準が適用される。将来的には、廃熱も活用されなければならない。将来的には、大規模データセンターのすべての運営者は、再生可能エネルギー源からの電力も使用し、エネルギー消費に関する情報を公的登録簿に記載し、特定のエネルギー消費について顧客に通知することが望まれる。

• 廃熱の回避と利用 生産工程からの廃熱は、今後可能な限り回避されなければならない。回避が不可能な場合は、利用すべきである(廃熱利用)。さらに、企業における廃熱ポテンシャルに関する情報は、新しいプラットフォームにまとめられ、一般に公開される。

(出典:2023年9月21日、ドイツ連邦経済・気候保護省

 

ブラウンシュヴァイク大学、山梨大学と水素燃料電池材料開発で提携

山梨大学は、新たな水素燃料電池の性能向上を目指した新しい材料の開発において、ドイツのブラウンシュバイク工科大学との共同研究室を開設。共同研究では、水素燃料電池の電極に使用される触媒の効率向上技術の開発が、今年度から5年間の計画で行われる。

山梨大学は、新たな水素燃料電池の性能向上を目指した新しい材料の開発において、ドイツのブラウンシュバイク工科大学との共同研究室を開設した。20日には、甲府市内で行われた式典で、山梨大学とブラウンシュバイク工科大学の研究者ら、そして日独の政府関係者など約40人が出席し、共同研究の開始を祝福した。同研究室は「日独共同グリーン水素マテリアルラボ」と名付けられ、山梨大学の「水素・燃料電池ナノ材料研究センター」内に設置される。共同研究では、水素燃料電池の電極に使用される触媒の効率向上技術の開発が、今年度から5年間の計画で行われる。これにより、水素燃料電池のコスト削減や寿命延長が目指されている。水素の急速な利用拡大に伴い、次世代の燃料として需要が高まる中で、新たな材料の探求が必要とされている。

(出典:2023年9月20日、NHK

©ドイツ大使館

ドイツにおける風力・太陽光エネルギーの拡大傾向、夏以降も続く

ドイツにおける風力及び太陽エネルギーの拡大傾向は近夏以降も続いている。前年同期比で84.4%の増加。再生可能エネルギー源法では、陸上風力発電の容量は2030年までに115GWへ、太陽光発電は215GWを目指す。エネルギー収支作業部会(AGEB)によると、昨年ドイツで生産されたグリーン電力は合計254TWhで、総発電量の43.9%を占める。

ドイツにおける風力および太陽エネルギーの拡大傾向は、今年夏以降もなお続いている。ミュンスターに所在する再生可能エネルギー国際経済フォーラム(IWR)が分析したところによると、2023年1月から7月だけで、風力発電所と太陽光発電所の合計容量が10,000MW強(10,006MW)が新たに稼働している(2022年1月~7月:5,426MW)。これは前年同期比で84.4%の増加である。ドイツにおける風力発電と太陽光発電の新規導入により、前年度全体(2022年通年:10,213MWの風力発電と太陽光発電容量)の拡大レベルに、わずか7ヵ月でほぼ到達している。バイエルン州は、ノルトライン=ヴェストファーレン州(1,340 MW)、バーデン=ヴュルテンベルク州(1,060 MW)、ニーダーザクセン州(740 MW)、ブランデンブルク州(610 MW)を抑え、約1,980 MWの新規太陽光発電容量で第一位(2023年7月末現在)となっている。

風力エネルギー市場も、前年同期に比べ好調である。連邦ネットワーク庁の市場マスターデータ登録のIWRによる分析では、2023年1月から7月までに、出力2,080MWの風力タービンが新たに420基稼動している。前年同期と比較すると、風力発電容量は75.2%(2022年1月~7月:1,187MW)と大幅に増加している。総発電量のうち1,850MWが陸上風力発電(2022年1月~7月:1,178MW)、約230MWが洋上風力発電(2022年1月~7月:9MW)である。2023年における陸上風力発電の追加容量」は、引き続きシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州(2023年7月末現在)が約72万5,000kWの風力発電容量となり、ニーダーザクセン州(30万8,000kW)、ノルトライン・ヴェストファーレン州(23万2,000kW)、ブランデンブルク州(17万6,000kW)を抑えて第1位となった。

再生可能エネルギー源法では、陸上風力発電の容量は2030年までに115GWへ、太陽光発電は215GWを目指す。エネルギー収支作業部会(AGEB)によると、昨年ドイツで生産されたグリーン電力は合計254TWhで、総発電量の43.9%を占める。ただ、各連邦州の再生可能エネルギー発電量の差は顕著だ。シンクタンク「Agora Energiewende」のPhilipp Godron氏は、発電量の50%以上を再生可能エネルギーで賄うドイツ北部に触れながら「これは地域の風量と居住密度が関係しているが、州政府の政治的意思も風力発電の拡大を左右しており、立地条件の良さだけでは説明できない非常に明確な南北の差が生じている」と説明する。総じてドイツ全土に新しい風力発電所や太陽光発電所が建設される可能性はあるが、専門家らは、風力タービンは人口の少ない北部の連邦州に偏って建設され続け、太陽光発電の拡大はより均等になると予想する。

(出典:2023年8月18日、IWR 、2023年11月20日、Handelsblatt

 

エッセンの新興企業、空気中の二酸化炭素からグリーン水素を生成 

エッセンの新興企業グリーンライト・カーボン・テクノロジーズ(GCT)は、大気から温室効果ガスを直接ろ過し、グリーン単炭化水素に変換するシステムを開発。11月中旬にデモプラントが稼働。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、大気中の二酸化炭素を濾過することは、二酸化炭素を回収する最も高価な方法である。エッセンの新興企業グリーンライト・カーボン・テクノロジーズ(GCT)は、費用対効果が高いとされる代替手段を提供する。11月14日、実証プラントが稼働した。同社によれば、このシステムは大気から温室効果ガスを直接ろ過し、グリーン炭化水素に変える。その後、改修された二酸化炭素は永久に貯蔵または再利用することができる。GCTの共同設立者で代表取締役のフロリアン・ヒルデブランド氏によれば、地元のビール会社とコンクリートブロック製造会社が、すでに二酸化炭素をビール製造に利用する予定だという。高さ約5メートルの実証プラントは「グリーンベリー2」と呼ばれている。年間100トンの二酸化炭素を処理できるこのプラントは、ドイツ最大である。GCTは2024年にも、プラントを商業化し、カナダの企業に売却する計画。

(出典:2023年10月24日、ハンデルスブラットGCT

 

ドイツ政府が水素コアネットワークの資金調達コンセプトを承認 

ドイツ連邦内閣は、水素コアネットワーク建設のための資金調達構想を承認。エネルギー産業法の枠組みの中で、連邦政府は今後数年間で計9700キロメートルの送電線建設を支援する。送電網は2032年までに整備され、費用は200億ユーロ弱を見積もっている。

ドイツ連邦内閣は11月中旬、水素コアネットワーク建設のための資金調達構想を承認した。エネルギー産業法の枠組みの中で、連邦政府は今後数年間で計9700キロメートルの送電線建設を支援する。送電網は2032年までに整備され、産業地域や発電所、港湾、貯蔵施設などを結ぶ予定だ。費用は200億ユーロ弱を見積もっている。 これに伴い、水素経済の発展に関する議論がニーダザクセン州のCuxhavenで行われる予定だ。北ドイツ5州(ニーダーザクセン州、ブレーメン州、ハンブルク州、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州、メクレンブルク=フォアポンメルン州)と産業界の代表がこのテーマで合同会議を開くのは今回が初。会議では水素の国内生産に加え、輸入の機会についても議論する予定だ。特に北海沿岸の北ドイツは、水素経済にとって有望な地域であると考えられており、今後の発展に期待が高まっている。

(出典:2023年11月16日、Deutschlandfunk


イベント報告

 

10月26日 GJETCアウトリーチイベント

日独エネルギー変革評議会のアウトリーチイベントでは、(1) 建物ストックの脱炭素化のための戦略(2)気候中立的石油化学生産システムに向けたロードマップの比較分析の二つの研究を紹介。

今回の日独エネルギー変革評議会のアウトリーチイベントでは、(1) 建築ストックの脱炭素化のための戦略、コンセプト、対策、(2) 気候中立的石油化学生産システムに向けたロードマップの比較分析の二つの研究を紹介しました。 GJETCはこの1年間、特に建築分野に焦点を当て、3月には業界代表とのステークホルダー・ダイアログを開催しました。12月にはエネルギー改修を経済化するための革新的なプロセスや材料に焦点を当てたイノベーション・ラウンドテーブルを計画しています。

イノベーション・ラウンドテーブルの詳細については、GJETCホームページをご覧ください。

https://gjetc.org/outreach/

11月22日 Zoom in!日独エネルギー・トランジション・トーク

Zoom in! 日独エネルギー・トランジション・トークの第四回目は、ドバイで開催されるCOP28を前に、過去数ヶ月の重要な地政学的出来事について専門家が議論。

日独エネルギー・パートナーシップ・チームと日独エネルギー変革評議会(GJETC)が共同で開催するウェビナーシリーズ、「Zoom in! 日独エネルギー・トランジション・トーク」の第四回目は、ドバイで開催されるCOP28を前に、過去数ヶ月の重要な地政学的出来事について専門家が議論しました。ウクライナ情勢、中国との緊張の高まり、グリーン開発、SDGsの進展等と地政学的環境の変化への影響を考慮し、議論が行われました。約80名の方々にご参加頂きました。

https://gjetc.org/zoom-in/


 

イベント案内

 

2024年1月25日~26日 日独エネルギー・環境対話

1月25日、26日に川崎で開催される第13回EEDFでは、日独両国における具体的なビジネスの取り組みや成功事例、関連する政策を紹介しながら、循環型経済とカーボンニュートラルとの接点につき、議論して参ります。

循環環型経済(サーキュラー・エコノミー)への移行に向けた取り組みは、世界の原料消費の削減及び気候変動対策に向けた鍵となるものです。 日独エネルギー・環境フォーラム(EEDF)は、日独両国の政界、産業界、学界のリーダーが、エネルギーや環境に関する主要なテーマにつき交流し、集中的に議論する場として発展して参りました。第13回EEDFは、循環型経済をテーマに開催いたします。 2024年1月25日、26日に川崎で開催される第13回EEDFでは、日独両国における具体的なビジネスの取り組みや成功事例、関連する政策を紹介しながら、循環型経済とカーボンニュートラルとの接点につき、議論して参ります。 プログラムや参加登録等の詳細については、近日中に発表する予定です。

https://www.ecos.eu/ja/veranstaltungen_j/details_j/12-german-japanese-environment-and-energy-dialogue-forum-2-jp.html

2024年2月27日 ドイツ北東3州によるネットワーキングイベント

ドイツ貿易・投資振興機関によるプログラムを通じてドイツ北東3州の水素・再生可能エネルギー、蓄エネルギー関連企業が、2月25日~3月1日に訪日。2月27日にネットワーキングイベントを開催。

ベルリン州、ブランデンブルク州、メクレンブルク・フォアポメルン州のドイツ北東3州は、東京で開催されるワールド・スマート・エネルギー・ウィークに合わせ、2月25日~3月1日の日程で、水素・再生可能エネルギー・蓄エネルギー分野の企業から成るビジネスミッションを派遣する予定です。ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)による助成プログラムとなり、2月27日には日比谷国際コンフェレンススクウェアでネットワーキングイベントが開催される予定です。詳細については、近日弊社ホームページに公開予定です。

 

2024年4月22日 第17回日独経済フォーラム 日独両国産業における熱と資源の転換

ハノーバー・メッセ2024で開催される日独経済フォーラムの今回のテーマは、産業界における資源の効率的利用と熱供給の脱炭素化です。2024年4月22日14:30-17:30に開催される予定です。

https://www.ecos.eu/ja/veranstaltungen_j/details_j/heat-and-resource-transition-in-japanese-and-german-industry-jp.html


特集

 

ECOSがAgrotech Valley Forum e.V.のメンバーに

2023年11月6日の総会において、Agrotech Valley Forum e.V.の新しいメンバーとしてECOSが紹介されました。これまでの信頼関係をさらに発展させ、農業・食品における循環型経済のコンピテンス・リージョンの設立や日本のクラスターとの交流など、共同プロジェクトを進めていきたいと考えています。 Agrotech Valley Forum e.V.は、農業・食品産業の科学機関、教育機関、地方自治体、企業の地域ネットワークで、農業システム技術と、デジタル技術に基づく将来の食品生産バリューチェーンへの効率的な統合に焦点を当てています。特に、農業・食品科学の分野における科学と研究を促進し、ドイツ北西部の農業システム技術分野における科学と産業の専門知識を結集し、国際競争力を高めるために関係者の革新力を強化することを目標に掲げています。